2024年10月25日
・調査対象の消費者の36%が経済的に余裕ができたと感じているのに対し、経済的に余裕がなくなったと感じているのは27%だけであった。 食品価格の高騰、景気後退、公共料金の値上げは依然として最大の懸念事項となっている。
・アジア太平洋地域の消費者の50%が、AIを使用して効率的に買い物することを望み、49%はAIからの提案を受け入れると回答している。
・ソーシャルメディアが商品の発見に大きな影響を与えており、直接購入を促している。
・消費者が健康やウェルネスにホリスティックなアプローチを求めることから、ストレス管理、GLP-1の増加と影響、腸内環境への意識、タンパク質の重要性が今後注目されるトレンドとなる。
世界有数のグローバル消費者インテリジェンス企業であるNIQは、中間消費者展望(MYCO)レポートで、アジア太平洋地域の顧客の購買行動が、慎重な消費から計画的な消費に変化してきていることを報告しました。年に2回行われるこの調査では、経済的影響、消費者行動、購買決定の包括的な分析を行い、今後12~18か月およびそれ以降に渡り消費者の支持を獲得しようとしているCPGおよびT&Dメーカー、小売業者に対し戦略的ロードマップを提供しています。
「アジア太平洋地域の消費者は、目を見張るほどの回復力を見せており計画的な消費へとシフトしています。これは、ヘルス・ウェルネス、サステナビリティにおける選択への関心が高まっている点からも明らかです」と、NIQのAPACカスタマー・サクセス&マーケット・コンサルティング インサイトリーダーのCraig Houlistonは述べています。
消費者の心理
アジア太平洋地域の消費の強さと意思は明らかであり、調査対象となった消費者の36%が経済的に良くなったと感じているのに対し、経済的に悪くなったと感じているのは27%にとどまりました。
経済状況について否定的な見方をしている人々は、状況が悪化した原因を生活費の上昇にあるとしており、次いで景気後退、雇用不安、健康状態の変化、が続いています。
金融感情はさまざまですが、食品価格の上昇、景気後退、光熱費の上昇は消費者にとって今後6か月間の主要な懸念事項と考えられます。
進化する経済格差:安心感が増え、苦境に苦しむ人が減る
NIQの「経済格差」に関するセグメンテーションでは、経済的に安定している層へのシフトが継続していることがわかります。2023年の同時期には、経済的な影響を受けていないか経済的に豊かであると答えた消費者が25%であったのに対し、今回は33%に上昇しました。一方経済的に苦しんでいるか、回復途中であると答えた消費者は、昨年の同時期に41%だったのに対し、今回は31%に減少しました。慎重な見方をしている消費者の割合は最も高い36%で、これは2023年6月の35%を少し上回っています。経済格差は、消費者の収入や貯蓄能力に対する最近の影響を考慮し、消費者が経済についてどの程度安心感や不安感を抱いているかを可視化しています。
シェア・オブ・ウォレット
2025年の消費志向は、慎重な支出から目的志向の支出への消費活動に意識がシフトすると考えられています。
経済的な安定感に対する感情が高まっているにもかかわらず、アジア太平洋地域の消費者は、今後12か月間は外食や娯楽を減らすと主張しています。また、アルコール飲料、美容院や理容室、大型家電製品、スナック菓子や菓子類への支出も減らす計画の傾向にあります。
消費者は出費に対して気を配っていますが、同時にレジャーやライフスタイルの活動に対する欲求は依然として持っています。多くの消費者は、より経済的に負担の少ないオプションとして、家庭内での娯楽や人との交流を優先する傾向にあります。
また、消費者は自分自身や家族の教育に投資したいという意向を示しており、自己成長と長期的な目標に重点を置いていることが浮き彫りになっています。
今後12ヶ月間の食料品や日用品の支出をどのように管理するかという質問に対して、アジア太平洋地域の回答者は、生鮮食品、健康・美容製品、生鮮肉、乳製品、生活必需品(キッチン用品やバス用品など)、パーソナルケア用品や美容用品を優先する予定であると回答しました。
消費を促進するAI
NIQの小売販売データは、CPG産業のさらなる成長を促すには、数量的な刺激が必要であることを示しています。14の市場の内7つの市場で数量的なプラス成長を示しており、インド、フィリピン、マレーシアでは毎年成長が加速している上に、オーストラリアとニュージーランドではプラス成長へと転換しました。
MYCO報告書から、ブランドや小売業者は、消費を刺激するのに役立つドライバーを探り出すことができます。その中でも、消費者の購買行動における人工知能(AI)の役割が高まっています。アジア太平洋地域の消費者のうち半分が、AIを利用して購買体験を効率化したいと考えています。また、49%の消費者がAIからの提案を受け入れると回答しています。
ソーシャルメディアが消費者の発見と購買行動を促進する
アジア太平洋地域では、ソーシャルコマースが急成長しており、より多くの消費者が商品の発見や購入にソーシャルメディアを利用しています。実際、MYCO報告書で調査された消費者の60%が、ソーシャルメディアが商品発見に影響を与えると回答しています。また59%が、ソーシャルメディアのプラットフォームで紹介された商品を見た後に、店頭やオンラインで商品を探す可能性が高いと主張しています。
54%の消費者は、商品に関するより多くの情報を得る際に従来の検索エンジンを使用するよりもソーシャルメディアでまず検索を行っています。
ライブストリームショッピングやショッパブル ピンもよく使用されており、それぞれ消費者の46%と45%がこれらの機能を利用して購入しています。
ソーシャルメディアが主要なプラットフォームである一方で、ビデオゲームやオンラインゲームも人気を集めています。これらのプラットフォーム内で商品を直接購入することはあまり一般的ではありませんが、注目に値するニッチ市場です。
また消費者は、アプリ内のチャレンジ、ポイントシステム、特典を理由として、購入時により多くのお金を使う可能性が高いと主張しています。
ディスカウントの再定義
インフレが緩和し消費者の信頼感が改善するにつれ、「ディスカウント」の定義も変化しています。アジア太平洋地域の消費者は、価格以外の価値を求めるようになっています。
- 手頃な価格+新製品:新製品で価格が同等または「まだ購入できる」価格である場合、消費者が新しいものを試すことに前向きになることで、選択に変化が生まれることがよくあります。実際、アジア太平洋地域で調査した消費者の65%は、低価格という理由でブランドを切り替えたり、新しいブランドを試したりする可能性が高いです。
- 手頃な価格+健康:消費者の49%は、同等の効果が得られるのであれば、より安価な医薬品に切り替えても良いと考えており、ヘルスケアに関する選択肢で「手頃な価格+健康」というオプションの重要性が高まっていることを示しています。
- 手頃な価格+サステナビリティ:消費者の75%が、エネルギー効率が良くランニングコストが低い製品を購入することを望んでいます。
- 手頃な価格+ホームメイド:消費者の53%が、美容ケアに天然素材や食品を代用すると回答しています。
「ディスカウントは、単なる値下げではなくなりました。消費者は今や、健康、サステナビリティ、天然素材に対する高まる関心に応える価格の提案を求めています」とHoulistonはコメントしました。
注目するトレンド
アジア太平洋地域の消費者の健康とウェルネスへの関心は、政府の法案、ソーシャルメディア、AIの進歩の影響を受けて総合的な方向に変化しています。
- ストレス管理:アジア太平洋地域の消費者の57%は、ストレスを管理しリラクゼーションを促進できる製品やサービスを探しています。対象製品は、サプリメントや食料・飲料からウェアラブルのテクノロジーまでさまざまです。GfK Market Intelligenceの販売追跡によると、皮膚電気反応(皮膚の電気的活動)を測定する製品が最も急速に成長している分野であり、62%の成長が見られます。健康ウェアラブルは、より健康的な購入への移行をさらに加速させるでしょう。
- GLP-1医薬品の台頭と影響:GLP-1医薬品は、意識的な間食、食物繊維とタンパク質、消化器系の健康、サプリメント、ビタミンなどの分野で新たな消費を促進するでしょう。テクノロジーや耐久消費財では、ウェアラブルデバイスやスマートウェルネス技術の需要が高まると予想されます。 さらに、GLP-1 医薬品は、生産性、長寿、メンタルヘルス、生殖能力、更年期の体重管理などのライフスタイル要因に影響を与える可能性があります。MYCOレポートによると、アジア太平洋地域の消費者の34%が、減量のために医薬品や薬剤を使用する可能性が高いと回答しています。
- 腸内環境への意識:消費者は腸内環境と、脳の健康を含む全身の健康のつながりにより高い関心を向けています。
- タンパク質の力:タンパク質が健康と栄養全般にとって重要であると消費者が認識するにつれ、タンパク質を豊富に含む製品の需要は今後も伸び続けると予想されます。
中間消費者展望:2025年ガイド
NIQの2024年中期消費者展望は、消費者インテリジェンス ソリューションの世界的な展開と、オーストラリア、中国、インド、インドネシア、シンガポール、韓国、タイといったアジア太平洋諸国を含む23か国の、17,000人を超えるオンライン消費者からのフィードバックに基づいて、消費者についての分析評価を提供します。目標は、消費者が経済環境について現在何を考えているのかを理解する事、そして消費者が何を購入しているのか、およびその理由を知ることです。調査は2024年の6月から7月にかけて行いました。詳しくは、レポートをダウンロードしてご覧ください。
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本リリースに関するお問合せ先
平川己津子
mitsuko.hirakawa@nielseniq.com
NIQについて
NIQは、世界をリードする消費者インテリジェンス企業であり、消費者の購買行動に関する最も包括的な理解を提供し、新たな成長への道筋を示します。2023年、NIQはGfKと合併し、業界をけん引する2社が結びついたことで比類ない世界規模のリーチを実現しました。現在、NIQは95か国以上で事業を展開し、GDPの97%をカバーしています。当社は、包括的な小売データと最先端の分析プラットフォームを活用した高度な分析を通じて、最も広範な消費者インサイトをお届けすることで、Full View™を提供しています。