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「2020年 家電・IT市場動向」

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「2020年 家電・IT市場動向」



 GfK Japan(東京:中野区)は、全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データ等を基に、2020年の家電およびIT市場の販売動向を発表した*1。

【国内家電小売市場】
 2020年の家電小売市場規模は前年から2.9%増の7兆2,800億円となった。コロナ禍に見舞われた1年であったが、それに伴う需要も発生し、結果的に前年を上回った。
 分類別に見ると、AV関連製品、IT関連製品のほか、家事・調理・理美容・健康家電等から構成される小型生活家電が前年を大きく上回った。AV関連製品はエコポイント制度、アナログ停波から10年が経ち、ここ数年はテレビの買い替え需要に支えられている。IT関連製品はWindows 7のサポート終了に伴うパソコンの買い替え需要に加え、テレワーク需要も市場拡大の後押しとなった。小型生活家電は、いわゆる巣ごもり需要で調理家電の販売が伸び、コロナ対策として空気清浄機、加湿器等でも特需がみられた。一方、スマートフォンを中心とする電話関連製品は春の最需要期における店舗の時短営業が逆風となり、カメラ関連製品は旅行やイベントの中止が響き、前年を下回った。
 インターネット販売は外出自粛が追い風となり、販売金額で2割を超える伸びとなった。この結果、家電小売市場におけるインターネット販売の金額構成比は前年から3%ポイント上昇し、19%となった。

【AV市場】
 2020年のAV市場は、主要製品である薄型テレビの買い替え需要増加に加え、テレワーク需要の高まりをうけたヘッドホン/ヘッドセット市場の好調などにより、前年の販売金額を上回った。

 薄型テレビの販売台数は前年比12%増の630万台となった(図1)。エコポイント制度やアナログ停波による特需期に購入されたテレビの買い替え需要が年々高まっているとみられ、4年連続のプラス成長となった。加えて、コロナ禍においてテレビの視聴機会が増加したことも追い風となった。 4Kテレビの販売台数は前年比22%増となり、薄型テレビに占める数量構成比は前年から5%ポイント上昇の57%となった。また大画面化は進展し、薄型テレビのうち55インチ以上のモデルが占める数量構成比は、前年から5%ポイント伸長し23%となった。薄型テレビの税抜き平均価格は、4Kテレビや大画面テレビといった高価格製品の販売が伸長したことにより、前年から4%上昇し87,000円となった。

 BDレコーダーは前年並みの210万台となった。4K画質に対応したソフトの再生が可能な4K Ultra HD再生対応モデルの販売台数は前年比39%増となり、数量構成比は前年の20%から28%に伸長した。再生だけでなく録画にも対応する4Kチューナー内蔵モデルは、数量構成比で前年の8%から23%を占めるまでに拡大した。また、2TB以上のHDDディスクを搭載したモデルの数量構成比は、前年から9%ポイント伸長し37%となった。4K対応や大容量など高価格帯製品の拡大により、BDレコーダーの税抜き平均価格は前年から6%上昇し48,000円となった。

 ヘッドホン/ヘッドセット*2は数量前年比9%増の2,250万本となった。完全ワイヤレスイヤホン*3は前年の1.4倍となり、数量構成比は前年から5%ポイント拡大し21%となった。中でも、外部の騒音を打ち消すノイズキャンセリング機能が搭載された製品の販売が好調に推移し、数量は前年の4倍となる170万本となった。ヘッドホン/ヘッドセットの税抜き平均価格は、完全ワイヤレスイヤホンの伸長により、前年から10%上昇し6,300円となった。その結果、販売金額は前年比21%増を記録し、数量前年比を大きく上回った。

【テレコム市場】
 2020年の携帯電話市場は数量前年比6%減の2,750万台となった(図2)。そのうち9割強を占めるスマートフォン(ファブレット含む)は同3%減の2,550万台、フィーチャーフォンは同28%減の200万台となった。新型コロナウイルス流行に伴う外出自粛ムードの高まりや家電量販店・携帯専門店の一部休業が影響した。20年3月に主要キャリアにおいて次世代移動通信システム「5G」の商用サービスが開始されて以降、5Gに対応したスマートフォンが順次登場した。結果、スマートフォン市場に占める5G対応モデルの数量構成比は15%となった。

 ウェアラブル端末*4は前年比23%増の240万台となった。市場の過半を占めるスマートウォッチが同42%増と、市場をけん引した。またウェアラブル市場の3割弱を占めるフィットネストラッカーも、同36%増と拡大した。新規メーカーの参入に伴い、低価格のラインナップが一気に拡充した。フィットネストラッカーにおいて低価格帯の製品が拡大した結果、ウェアラブル端末の税抜き平均価格は前年から13%下落し27,000円となった。

【IT・オフィス市場】
 2020年のIT・オフィス市場は、 テレワークやオンライン授業、政府主導のGIGAスクール構想による需要拡大があったものの、増税前の駆け込み需要やWindows 7サポート終了に伴うパソコンの特需があった前年より金額規模は下回った。

 パソコン*5は前年比8%減の1,700万台と前年から縮小したが、過去と比較すると高い販売水準であった。リテール市場は同12%増の360万台と、2年連続のプラス成長となった。年始のWindows 7サポート終了に伴うリプレイス需要およびテレワークやオンライン授業による需要の高まりが市場を支えた。一方リセラー市場は同6%減の930万台となった。リプレイス需要のピークとなった前年から縮小したものの、GIGAスクール構想の計画前倒しによって秋から販売が急伸した。

 タブレット端末*6は前年比39%増の990万台となった。リセラー市場は文教需要が追い風となり同214%増であったが、リテール市場は同8%減となった。通信方式別にみると、キャリア回線付きは同39%減と大きく減少したが、縮小が続いていたSIMフリーモデルは同1%増、Wi-Fiモデルは同28%増と伸長した。その結果、数量構成比はキャリア回線付きが前年から18%ポイント縮小の34%、SIMフリーモデルは3%、Wi-Fiモデルが17%ポイント拡大の63%となった。

 パソコンとタブレット端末と合わせてみると、市場は前年比5%増の2,690万台となった(図3)。パソコンが前年から24%減少したものの、タブレット形状デバイス*7は上述の文教需要の拡大が販売を押し上げ同66%増と急伸した。全体に占めるタブレット形状デバイスの割合は、前年から19%ポイント拡大の51%と半数以上を占めた。

 プリンター・複合機のリテール市場は前年並みの320万台となった。印刷需要の低下や年賀状離れにより縮小が続く市場だが、上半期にテレワークや自宅学習によって需要が高まったことで前年並みを維持した。インクジェットでは、従来のカートリッジ式が数量前年比4%減となった一方で、インクタンク式は同45%増と拡大し、数量構成比は11%となった。

【イメージング市場】
 デジタルカメラは前年比41%減の130万台となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、旅行や学校行事などカメラ購入のきっかけとなるイベントが自粛・縮小となり、前年の販売を大幅に下回った。タイプ別にみると、コンパクトカメラが数量前年比44%減、一眼レフは同49%減、ミラーレス一眼は同30%減となった。各タイプとも、エントリーモデルに比べてハイエンドモデルの落ち込みが小さかった結果、デジタルカメラの税抜き平均価格は、前年から21%上昇し64,000円となった。
 交換レンズは、カメラの大幅な販売減をうけ、前年比31%減の40万本となった。一眼レフ用が数量前年比46%減、ミラーレス一眼用が同18%減となった。交換レンズに占めるミラーレス一眼用の割合は、数量ベースで前年から10%ポイント伸長し63%となった。

【生活家電市場】
 2020年の生活家電市場は、特別定額給付金の支給が比較的高価格な大型生活家電の買い替えを促進させたほか、外出自粛による巣ごもり需要の拡大なども小型生活家電の販売を押し上げた。

 冷蔵庫は前年並みの460万台となった。外出自粛要請や緊急事態宣言の発令により3-4月の販売は落ち込んだが、その後気温が平年を上回るなど暑さに見舞われ、故障に繋がったことで買い替えが進んだとみられる。また特別定額給付金が、より性能の高い機種への買い替えも促したとみえる。容量クラス*8別の数量構成比は、小容量(200L以下)が38%、中容量(201-400L)が24%、大容量(401L以上)が38%となった。中容量が前年から2%ポイント拡大し、大容量が2%ポイント縮小した。

 洗濯機は前年比1%減の520万台となった。前年からは縮小したものの、3年連続で500万台を超えた。縦型が同3%減となった一方でドラム式は同14%増と好調に推移した。結果、タイプ毎の数量構成比は、ドラム式が前年から2%ポイント拡大し15%、縦型が82%、二槽式が3%となった。ドラム式の拡大に伴い、洗濯容量別の数量構成比は、大容量(洗濯容量8kg以上)が前年から3%ポイント拡大の48%となり、中容量(6kg以上8kg未満)と小容量(6kg未満)はともに26%に縮小した。税抜き平均価格は前年から6%上昇し、80,000円となった。

 エアコンは前年比1%増の930万台となった(図4)。緊急事態宣言が発令された4月の販売は大幅に減少したものの、5月と6月は全国的に気温が平年を大きく上回り需要が拡大した。最需要期にあたる7月は天候不順により販売が伸び悩んだが、その後の猛暑や残暑によって市場は押し上げられた。その結果、通年の販売台数は3年連続で900万台を超えた。

 掃除機は前年並みの810万台となった(図5)。スティックタイプが数量前年比6%増、ロボットタイプが同4%増と引き続き拡大した一方で、キャニスタータイプは同10%減、ハンディタイプは14%減となった。キャニスタータイプからスティックタイプへの需要の移行が継続しており、掃除機に占めるスティックタイプの数量構成比は前年から3%拡大し50%と初めて半数を占めた。スティックタイプの販売をけん引するコードレス式は数量前年比10%増と好調に推移した。主要タイプの平均価格上昇に加え、価格の高いコードレススティックの拡大により、掃除機の税抜き平均価格は前年から5%上昇の24,000円となった。

 

*1. 全国の有力家電・IT取扱店(家電量販店、総合量販店、カメラ専門店、携帯電話専門店、ネット通販等)からPOS データ等を収集し、統計的な手法に基づき全国市場規模相当に拡大推計した
*2. ヘッドホン:マイク無しのイヤホン・ヘッドホン製品(ステレオのみ)、ヘッドセット:マイクを備えたイヤホン・ヘッドホン製品(ステレオ・モノラル)
*3. 完全ワイヤレスイヤホン:左右のイヤホンが完全に独立したBluetooth搭載イヤホン
*4. ウェアラブル端末:搭載されているセンサーを利用して心拍や位置情報などのライフログを収集し、スマートフォン等と連携する機器および演算能力を持つ機器
*5. Windows 8/8.1/10搭載のスレート型情報端末を含む
*6. タブレット端末:画面サイズ5.6インチ以上のタッチスクリーンを備え、iOS、Android等の軽量OSを搭載するスレート型情報端末(7インチ未満の通話機能付き端末は含まない)
*7. iOS、Android搭載の「タブレット端末」とWindows 8/8.1/10搭載のスレート型PCの合算
*8. 2015年のJIS改正により一部新JIS表示値を採用

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